現在地 : 滋賀県  松尾芭蕉の俳句(近江編)

滋賀県の松尾芭蕉の俳句(近江編)

時代 和歌 枕詞 季語 場所
延宝5年 34歳 近江蚊屋 汗やさざ波 夜の床 さざなみ    
貞享元年 41歳 野ざらしを 心に風の しむ身かな      
貞享2年 42歳 山路来て 何やらゆかし 菫草   菫草 京都から大津へ向かう道中
貞享2年 42歳 辛崎の 松は花より 朧にて 辛崎の松   唐崎神社
貞享2年 42歳 つつじ生けて その陰に干鱈割く女   つつじ 真明寺
貞享2年 42歳 命二つの 中にいきたる 桜かな   大岡寺
貞享4年 44歳 五月雨に 鳰の浮巣を 見にゆかん   五月雨 常明寺
元禄元年 45歳 五月雨に隠れぬものや瀬田の橋   五月雨 西光寺前
元禄元年 45歳 草の葉を落つるより飛ぶ螢哉     瀬田川蛍谷
元禄元年 45歳 目に残る吉野を瀬田の螢哉      
元禄元年 45歳 この螢田毎の月にくらべみん     石山寺
元禄元年 45歳 世の夏や湖水に浮む浪の上   井狩昨卜亭
元禄元年 45歳 海は晴れて比叡降り残す五月哉     新唐崎公園
元禄元年 45歳 夕顔や秋はいろいろの瓢哉   小川畔
元禄元年 45歳 鼓子花の短夜眠る昼間哉     大津奇香亭
元禄元年 45歳 昼顔に昼寝せうもの床の山     中山道街道脇
元禄2年 46歳 そのままよ月もたのまじ伊吹山     高岡斜嶺亭
元禄2年 46歳 少将の尼の話や志賀の雪     志賀の里
元禄2年 46歳 これや世の煤に染まらぬ古合子     膳所
元禄2年 46歳 何にこの師走の市にゆく烏   師走  
元禄2年 46歳 霰せば網代の氷魚を煮て出さん      
元禄3年 47歳 薦を着て誰人います花の春     膳所
元禄3年 47歳 草枕まことの華見しても来よ      
元禄3年 47歳 蛇食ふと聞けばおそろし雉子の声      
元禄3年 47歳 かわうその祭見て来よ瀬田の奥     瀬田川
元禄3年 47歳 四方より花吹き入れて鳰の波      
元禄3年 47歳 四方より花吹き入れて鳰の湖      
元禄3年 47歳 木のもとに汁も膾も桜かな      
元禄3年 47歳 行く春を近江の人と惜しみける      
元禄3年 47歳 曙はまだ紫にほととぎす     石山寺
元禄3年 47歳 先ず頼む椎の木も有り夏木立     幻住庵
元禄3年 47歳 夏草に富貴を飾れ蛇の衣     幻住庵
元禄3年 47歳 夏草や我先達ちて蛇狩らん     幻住庵
元禄3年 47歳 蛍見や船頭酔うておぼつかな   瀬田の唐橋
元禄3年 47歳 己が火を木々に蛍や花の宿    
元禄3年 47歳 夕にも朝にもつかず瓜の花   瓜の花 幻住庵
元禄3年 47歳 猪もともに吹かるる野わき分かな     幻住庵
元禄3年 47歳 やがて死ぬけしきは見えず蝉の声   幻住庵
元禄3年 47歳 こちら向け我もさびしき秋の暮   秋の暮  
元禄3年 47歳 玉祭り今日も焼場の煙哉     義仲寺
元禄3年 47歳 白髪抜く枕の下やきりぎりす      
元禄3年 47歳 名月や座に美しき顔もなし   名月  
元禄3年 47歳 月見する座に美しき顔もなし   月見  
元禄3年 47歳 月代や膝に手を置く宵の宿     水田正秀亭
元禄3年 47歳 病雁の夜寒に落ちて旅寝哉     寺本福寺
元禄3年 47歳 朝茶飲む僧静かなり菊の花   堅田祥瑞寺
元禄3年 47歳 海士の屋は小海老にまじるいとど哉      
元禄3年 47歳 蝶も来て酢を吸ふ菊のなます哉      
元禄3年 47歳 稲妻に悟らぬ人の貴さよ   稲妻  
元禄3年 47歳 草の戸を知れや穂蓼に唐辛子     無名庵
元禄3年 47歳 人に家を買はせて我は年忘れ      
元禄3年 47歳 比良三上雪さしわたせ さぎの橋      
元禄3年 47歳 かくれけり師走の海のかいつぶり   師走  
元禄3年 47歳 三尺の山も嵐の木の葉哉      
元禄3年 47歳 たふとさや雪降らぬ日も蓑と笠    
元禄4年 47歳 梅若菜丸子の宿のとろろ汁      
元禄4年 48歳 大津絵の筆のはじめは何仏     乙州宅
元禄4年 48歳 木曽の情雪や生えぬく春の草   義仲寺 草庵
元禄4年 48歳 ひごろ憎きからす烏も雪の朝哉   義仲寺
元禄4年 48歳 牛部屋に蚊の声暗き残暑哉      
元禄4年 48歳 米くるる友を今宵の月の客     義仲寺無名庵
元禄4年 48歳 三井寺の門敲かばや今日の月     義仲寺
元禄4年 48歳 錠明けて月さし入れよ 浮御堂     義仲寺
元禄4年 48歳 やすやすと出でていざよふ月の雲      
元禄4年 48歳 十六夜や海老煮るほどの宵の闇   十六夜 堅田
元禄4年 48歳 祖父親孫の栄えや柿蜜柑    
元禄4年 48歳 名月はふたつ過ぎても瀬田の月
     
元禄4年 48歳 草の戸や日暮れてくれし菊の酒     義仲寺無名庵
元禄4年 48歳 橋桁のしのぶ忍は月の残り哉      
元禄4年 48歳 石山の石にたばしる霰哉     石山寺
元禄4年 48歳 秋の色糠味噌壷もなかりけり   義仲寺
元禄4年 48歳 淋しさや釘に掛けたるきりぎりす     義仲寺
元禄4年 48歳 稲雀茶の木畠や逃げ処   稲雀 義仲寺 草庵
元禄4年 48歳 鷹の目も今や暮れぬと鳴くうずら      
元禄4年 48歳 蕎麦も見てけなりがらせ 野良の萩     龍ヶ丘 山姿亭
元禄4年 48歳 煮麺の下焚きたつる夜寒哉     菅沼曲水亭(膳所)
元禄4年 48歳 稲こきの姥もめでたし菊の花   彦根
元禄4年 48歳 百歳の気色を庭の落葉哉     光明遍照寺
元禄4年 48歳 尊がる涙や染めて散る紅葉   紅葉 明照寺
元禄4年 48歳 折々に伊吹を見ては冬籠り     千川宅
元禄5年 49歳 霧雨の空を芙蓉の天気哉      
元禄6年 50歳 旅人の心にも似よ椎の花      
元禄6年 50歳 椎の花の心にも似よ木曽の旅      
元禄6年 50歳 憂き人の旅にも習へ木曽の蝿      
元禄7年 51歳 さざ波や風のかおり薫の相拍子     游刀宅
元禄7年 51歳 湖や暑さを惜しむ雲の峰   暑さ  
元禄7年 51歳 夏の夜や崩れて明けし冷し物   夏の夜  
元禄7年 51歳 飯あふぐ嬶が馳走や夕涼み   夕涼 曲水亭
元禄7年 51歳 皿鉢もほのかに闇の宵涼み      
元禄7年 51歳 秋近き心の寄るや四畳半     木節庵
元禄7年 51歳 ひらひらと挙ぐる扇や雲の峰     本間主馬宅
元禄7年 51歳 蓮の香を目にかよはすや面の鼻     本間主馬宅
元禄7年 51歳 稲妻や顔のところが薄の穂   稲妻 本間主馬宅
元禄7年 51歳 道ほそし相撲取り草の花の露     義仲寺 草
元禄7年 51歳 ひやひやと壁をふまえて昼寝哉     木節亭
元禄7年 51歳 秋深き隣は何を する人ぞ     畦止亭
元禄7年 51歳 旅に病で夢は枯野をかけめぐる